DYNASTY

「ダイナスティ」は、博多の歓楽街・中洲の大通りから一歩入った裏通りに立地し、従来のカラオケボックスに飽き足らない比較的高感度な若中年層をターゲットとして企画されたカラオケボックスである。建物は、中国の租界をコンセプトに、大陸の伝統的な建築にあるさまざまなシンボルの断片を抽象化し引用しながら構成した。照明演出では海上(はいしゃん)蜃気楼をテーマに、外部からエントランス、個室に入るまで、視野に入る明暗のリズムの変化と連続性で空間演出をした。まず外部では、今後活性化を期待する中洲裏通りにインパクトを与え、外壁に用いたイタリアの伝統的な漆喰塗りの感触を生かしつつ、店内の空気を漂わせる伸びやかな配光配色の実験を試みながら計画した。 そしてエントランスでは、特注の吊りアッパーライトによる間接光で地明かりをとって空間に柔らかい光を与え、アイ・ストップとなる壁面やカウンタートップには低ボルテージハロゲン球を当ててそれらを際立たせた。この光質の違う二つの光により、メリハリのある空間の中に柔らかい光空間を実現した。同じように各ルームにいたる廊下では、地明かりであるスリムライン(電球色)の柔らかい間接光が、中国第一の大河である揚子江を隠喩した天井を浮かび上がらせ、低ボルトハロゲン球が見せたい場所を際立たせた。各カラオケルーム内は基本的にミニ球による間接照明を地明かりとし、各テーブルトップに低ボルトハロゲン球を当てた。またルーム内では、カラオケを歌いだすと自動音調により照度が落ちるように設定してある。

用途:商業ビル / 構造:RC造 / 階数:地上5階 / 所在地:福岡市博多区 / 竣工:1994年

受賞:JCDデザイン賞 ’95入選

   第13回 Nashop LIGHTING CONTEST入選

掲載:年鑑日本の空間デザイン1995

   月刊商店建築1995年4月号

   日経ストアデザイン1994年10月号

ダイナスティ:ファサードを見る。通路天井の間接照明を見る
ダイナスティ:店内カラオケルームを見る-1
ダイナスティ:店内カラオケルームを見る-2
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